登記の流れ案内 / 建物表題登記
先代が建てた未登記の家、
登記の流れは?建物表題登記を、11ステップで図解
親や祖父母が建てて、登記をしないまま住んできた家。相続の手続きや売却の相談をきっかけに「登記簿に建物が無い」と分かることが、いまとても多くなっています。このページでは、その建物を相続した方の名前で登記する建物表題登記の進め方を、順番どおりに図で説明します。
1か月以内表題登記の申請期限
不動産登記法47条
10万円以下怠ったときの過料
同法164条
税 0円登録免許税は
かかりません
法務局で確認してくださいこの手順書は一般的な流れです。必要な書類・書き方・添付の省略などは、事情や管轄の法務局によって変わります。申請の前に、必ず管轄の法務局(手続案内は予約制)でご確認ください。
監修鵜木 元代表取締役/宅地建物取引士・測量士・社会福祉士 ほか・ 公開 2026.10.27
WHY NOW
なぜ今、「先代の未登記の家」の相談が多いのか
きっかけは、2024年4月に始まった相続登記の義務化です。相続の手続きを進めると、建物が登記されていないことが分かる、という順番で見つかります。
1
相続登記が義務になった
不動産を相続で取得したことを知った日から3年以内に、相続登記を申請しなければなりません。正当な理由なく怠ると10万円以下の過料の対象です。2024年4月1日より前の相続も対象になります。
不動産登記法76条の2・164条
2
未登記の建物は、そのままでは相続登記ができない
相続登記は、登記簿に載っている建物の名義を書き換える手続きです。建物そのものが登記簿に無ければ、書き換える先がありません。まず建物を登記簿に載せる「表題登記」が必要になります。
登記簿の「表題部」が先、「権利部」があと
3
表題登記にも申請の期限がある
表題登記がない建物の所有権を取得した人は、取得の日から1か月以内に表題登記を申請しなければならない、と決められています。古くからある決まりですが、知られていないことが多いのが実情です。
不動産登記法47条1項・164条
HOW IT WORKS
登記簿のしくみ ― 表題部と権利部
建物の登記簿は2階建てのようなものです。1階の「表題部」に建物の中身を、2階の「権利部」に持ち主の権利を書きます。未登記の建物は、この1階から無い状態です。
表題登記で表題部ができ、そのあと必要に応じて所有権保存登記などの権利の登記へ進みます。
ROAD MAP
全体の流れ ― 4つの段階・11のステップ
大きく「調べる」「測る・描く」「所有者を決める」「申請する」の4段階です。番号を押すと、そのステップの図解へ移ります。
専門家専門家が行います
ご家族ご家族にお願いします
いっしょにご家族のご協力で進めます
STEP BY STEP
11ステップを図で見る
ここでは岡山県美咲町での進め方を例にしています。ほかの市町村でも流れは同じで、窓口の名前(税務課・資産税課など)や、法務局で求められる資料の細かな点が変わります。
ご自分で申請を考えている方へ。表題登記には、決まりに沿って作図した建物図面・各階平面図と、所有を示す書類が要ります。このページの流れは、専門家(土地家屋調査士)に頼んだときの進め方です。STEP 1〜4 の資料集めや、STEP 7〜9 の戸籍・協議書・証明書は、ご家族でも進められます。図面の作成と申請は、専門家に頼むのが確実です。
A調べる ― 建物の「いつ・誰が」を、資料で確かめる
4つの資料を突き合わせて、建物の時系列(いつ建って、いつ増築したか)を固めます。
STEP 1専門家
役場で、固定資産税の課税の記録を調べる
建物に固定資産税がかかっているなら、市町村は家屋を調べた記録を持っていることがあります。例美咲町では町の税務の窓口で、評価証明書と、課税したときの家屋の調査記録があるかを確認します。
- 分かること
- 調査した当時の建物の寸法・間取り、申請した人・所有者の名前、課税が始まった年など
- 確かめること
- いま建っている建物と、課税されている建物が同じ建物か(増築や建て替えで食い違っていないか)
ご家族にお願いすること:役場で資料を取るための委任状をお願いすることがあります。手元に固定資産税の納税通知書(課税明細)があれば、それも手がかりになります。
STEP 2専門家
法務局で、土地と建物の登記を調べる
土地の登記事項証明書(謄本)、その土地の上にある建物の登記、隣の土地の建物の登記まで調べ、申請しようとしている建物が本当に未登記かを確かめます。
- よくある発見
- すでに取り壊した昔の建物の登記が、土地の上に残っていることがあります
- そのときは
- 建物の滅失登記で古い登記を閉じます。所有者が亡くなっている場合は相続人のひとりからでも申請できます。事情により申請できないときは、法務局に相談のうえ申出の形をとることもあります
建物がなくなったときも、1か月以内に滅失登記を申請する決まりがあります(不動産登記法57条)。
STEP 3いっしょに
所有者・ご家族から、建物の時系列を聞き取る
誰が、いつ建てたのか。増築や車庫・物置を足したのはいつか。ご家族や関係者の記憶をうかがい、建物の歴史を年表にします。この建物を最初に建てた先代が原始取得者(最初の持ち主)にあたります。
- 手がかり
- 建てたときの契約書・領収書・建築確認の書類、古いアルバムの写真、大工さんの名前など
はっきり覚えていなくても大丈夫です。STEP 1・2・4 の資料と合わせて、確かな時系列に近づけます。
STEP 4専門家
国土地理院の空中写真で、時系列を照らし合わせる
国土地理院の「地図・空中写真閲覧サービス」では、昔からの空中写真を年代ごとに見ることができます。聞き取りや課税の記録で分かった「いつ建ったか」と、写真に建物が写り始める時期が合っているかを確かめます。
- 確かめること
- 新築・増築の時期/いまの建物と同じ場所・同じ形か
年代はイメージです。4つの資料の時期が縦にそろうことで、「先代が、この時期に建てた、この建物」と説明できるようになります。
詳細は法務局・土地家屋調査士にお問い合わせ下さい
B測る・描く ― 建物の形と位置を、図面にする
登記に添える図面は、建物の位置・形・床面積を表す決まった図面です。
STEP 5いっしょに
現地で、土地と建物を測る
GNSS(衛星を使った測量)で土地の区画と建物の位置を測ります。建物は外まわりの寸法を測り、室内も見せていただいて、吹き抜けなど床面積に入らない部分がないかを確かめます。
- ご家族に
- 室内を確認するための立ち会い、または鍵のご用意をお願いします
STEP 6専門家
建物図面・各階平面図を作る
STEP 1〜5 の結果をもとに、申請に添える図面を作ります。建物図面は土地の中で建物がどこにあるか、各階平面図は階ごとの形と床面積を表します。
- あわせて決めること
- 建物の種類(居宅・物置・車庫など)、構造(木造・瓦葺など)、母屋と附属建物の分け方
詳細は法務局・土地家屋調査士にお問い合わせ下さい
C所有者を決める ― 相続人の誰の名前で登記するか
建てた先代はもういないので、相続人の中から「表題部所有者」になる方を決め、それを書類で示します。
STEP 7いっしょに
戸籍を集めて、相続人を確かめる
先代の生まれてから亡くなるまでの戸籍をつなげて集め、相続人が誰かをもれなく確かめます。相続人の中に亡くなった方がいれば、その方の相続人まで広がります。
- 知っておくと便利
- 2024年3月1日から、本人・配偶者・父母や子などの戸籍は、本籍地でない市区町村の窓口でもまとめて請求できるようになりました(戸籍の広域交付)。兄弟姉妹の戸籍は対象外です
STEP 8ご家族
遺産分割協議で、建物を取得する方を決める
相続人全員で話し合い、この建物を誰が取得するかを決めます。決まった内容を遺産分割協議書(建物について)にまとめ、全員に署名と実印での押印をしていただきます。
- ご家族に
- 相続人全員の署名・実印・印鑑証明書。遠方の方とは郵送でやり取りできます
ここで決めた方が、登記簿の表題部に「所有者」として載ります。あとで売る・残すの相談をするときも、この方が中心になります。
STEP 9いっしょに
所有権を証明する書類をそろえる
新しい建物なら、建築確認の書類や工事をした会社の引渡しの証明書などで「誰の建物か」を示します。先代が建てた古い建物では、それが残っていないことがほとんどです。その場合は、この建物が所有者のものであることを知っている方々からの証明書を用意します。
- 例美咲町の例
- 成人以上の方4名から証明書をいただき、それぞれ実印での押印と印鑑証明書1通を添えました
- ほかの書類
- 固定資産税の評価証明書、STEP 1〜4 の調査で分かったことも、所有を説明する材料になります
どの書類を・何名分そろえるかは、建物の事情と管轄の法務局によって変わります。調査の結果をもとに、事前に法務局と相談して決めます。
詳細は法務局・土地家屋調査士にお問い合わせ下さい
D申請する ― 法務局へ出して、登記簿に載せる
ここまでの書類を1つにまとめて申請します。
STEP 10専門家
建物表題登記の申請書を作る
建物の所在・種類・構造・床面積・所有者などを申請書にまとめ、STEP 6 の図面、STEP 7〜9 の戸籍・遺産分割協議書・所有権の証明書、所有者になる方の住民票などを添えます。
- ご家族に
- 申請を専門家に任せていただくための委任状
STEP 11専門家
法務局へ申請し、登記が完了する
建物のある土地を受け持つ法務局へ申請します。表示の登記では、法務局の登記官が必要に応じて内容を調べたり、現地を確認したりすることがあります(不動産登記法29条)。問題がなければ登記が完了し、建物が登記簿に載ります。
- このあと
- 建物の名義(権利部)を登記する所有権保存登記は、司法書士の手続きです。売却や担保の設定をするときには、この登記まで済ませておくのが一般的です
申請の前に、法務局で確認ここまでの流れで分からない所や、ご自分の事情に当てはまるか迷う所は、管轄の法務局の手続案内(予約制)で確かめてから申請してください。様式・記載例は、申請する日に合った版を使います。
CHECK LIST
ご家族に用意していただくもの
調査や図面づくりは専門家が行います。ご家族にお願いするのは、おもに次のものです。手元に無いものは、無くても進め方を考えます。
ご家族書類・印鑑
- 建物を取得する方の住民票STEP 10 の申請に添えます
- 被相続人(先代)の出生から亡くなるまでの戸籍STEP 7 の相続人の確認に。除籍・改製原戸籍も含みます
- 相続人の戸籍STEP 7。相続人であることの確認に
- 相続人全員の実印と印鑑証明書STEP 8 の遺産分割協議書に
- 所有権の証明をしてくださる方の実印と印鑑証明書STEP 9。人数は法務局と相談して決めます
- 委任状役場の資料の取得や、申請を任せていただくため
いっしょにあれば助かるもの
- 固定資産税の納税通知書(課税明細)STEP 1 の手がかりになります
- 建てたときの契約書・領収書・建築確認の書類残っていれば、所有の証明に使えることがあります
- 家の写真が写った昔のアルバムSTEP 3・4 の時系列を固める材料に
- 室内を見せていただく日の立ち会い、または鍵STEP 5 の吹き抜けなどの確認に
詳細は法務局・土地家屋調査士にお問い合わせ下さい
AFTER
登記が整ったら ― 実家を、どうしますか
建物の登記は、ゴールではなくスタートです。登記が整うと、売る・貸す・残して管理するといった次の一歩に進めます。スマイル・エージェントは、その相続した実家・空き家の相談の窓口です。
FAQ
よくある質問
固定資産税を払っているのに、未登記ということはありますか?
あります。固定資産税は市町村が現地の家屋を調べて課税するもので、法務局の登記とは別の仕組みです。税金がかかっていても、登記簿には建物が載っていないことがあります。逆に、その課税の記録が STEP 1 の大事な手がかりになります。
表題登記はいつまでにしなければいけませんか?
不動産登記法47条1項は、表題登記がない建物の所有権を取得した人に、取得の日から1か月以内の申請を求めています。正当な理由なく申請を怠ると10万円以下の過料の対象になります(同法164条)。先代が建てた建物を相続した場合も、まずはお早めにご相談ください。
費用はどのくらいかかりますか?
表題登記そのものには登録免許税はかかりません(このあとの所有権保存登記にはかかります)。専門家の報酬は、建物の大きさ・資料の残り具合・相続人の人数などで変わるため、調査の前にお見積りをお出しします。
取り壊す予定の建物でも、表題登記は必要ですか?
取り壊すことが決まっている未登記の建物は、登記をせずに解体を進める進め方もあります。その場合は、解体後に市町村へ家屋の滅失の届出をするのが一般的です。売る・残す・壊すの方針から一緒に整理します(
解体の相談)。
相続人が県外にいても進められますか?
進められます。遺産分割協議書や証明書への署名・押印、印鑑証明書の用意は郵送でやり取りできます。現地の調査や測量は専門家が行います(
岡山県外にお住まいの相続人の方へ)。
美咲町以外の市町村でも同じ流れですか?
基本の流れは同じです。家屋の課税の記録を持っている窓口の名前(税務課・資産税課など)や、法務局で求められる資料の細かな点が変わります。
詳細は法務局・土地家屋調査士にお問い合わせ下さい
SOURCES
出典(法令・公的資料)
- 不動産登記法 47条1項(建物の表題登記の申請)・57条(建物の滅失の登記の申請)・29条(登記官による調査)・76条の2(相続登記の申請)・164条(過料)― e-Gov法令検索
- 登録免許税法 別表第一(表示に関する登記は課税の対象に含まれていません)― e-Gov法令検索
- 法務省「不動産を相続した方へ ~相続登記・遺産分割を進めましょう~」― 法務省
- 法務省「戸籍証明書等の広域交付」― 法務省
- 国土地理院「地図・空中写真閲覧サービス」― 国土地理院
確認日 2026年10月27日。
※このページは一般的な情報の提供を目的としたものです。必要な書類や進め方は、建物の事情と管轄の法務局によって変わります。建物表題登記の調査・申請の代理は土地家屋調査士の業務、所有権保存登記・相続登記は司法書士の業務です。当社は相続・空き家の不動産の窓口として、提携する専門家と一緒に進めます。図の地名・年代・数値はイメージです。
「うちの実家も、登記されていないかもしれない」
登記簿を見たことがない、相続の手続きが止まっている、売りたいけれど何から始めればいいか分からない。そんな段階から、ご相談ください。相続した実家・空き家の窓口として、登記から売る・残すまで一緒に整理します。ご相談は無料です。